近年、顔認証や自動車のセンサー、医療現場など、多くのシーンで画像認識技術が採用されています。
人間の目のように対象を認識し、状況によって機械やソフトウェアの挙動を制御できる画像認識技術は、様々なビジネスシーンで活躍するポテンシャルを持っているでしょう。
しかし、画像認識を自社で活用するためには、業務にマッチした画像認識技術を利用する必要があります。
画像認識システムの開発には膨大な専門知識が必要となるため、専門事業者が提供している画像認識システムを利用する企業がほとんどではないでしょうか。
様々な提供形態がありますが、その中のひとつにAPIがあります。
自社のシステム環境に大きな影響を与えず、必要な機能だけを利用できるAPIは、多くの企業で導入しやすい形と言えます。
この記事では、画像認識APIを活用するメリットや用途、選定するためのポイントを解説します。
画像認識APIとは
画像認識APIに関する基礎知識を解説します。
APIとは
APIは、ユーザー(またはユーザーが使用するアプリケーション)が特定のリクエストを送信すると、そのリクエストを受け取ったAPI(サーバー側)が処理を行い、結果をレスポンスとして返す仕組みです。
これにより、利用者は自社システムやデバイスからAPIへリクエストを送り、実際の処理はAPI側に任せて結果を受け取ることができます。
画像認識とは
画像認識は、コンピューターが画像データから特定の情報やパターンを識別する技術です。
文字の認識や物体の検出、人物の顔認証など、多くの用途で用いられています。
▶️ 参考記事「画像認識の仕組みとは?認識までのプロセスから歴史、活用シーンまで」
画像認識APIの働き
様々な動作ができる画像認識APIですが、基本的な動きとしてはユーザーが画像データをAPIに送信し、API側でその画像データに対して認識処理を行います。
処理が完了したら、認識結果をレスポンスとしてユーザーに返します。
この流れによって、短時間と低コストで画像認識機能をアプリケーションに組み込むことが可能です。
専門的な技術スキルがない場合や、急速に市場に対応する必要がある場合には、画像認識APIが非常に効果的な選択となります。
画像認識APIを活用するメリット
APIで提供される画像認識にはどのようなメリットがあるのかを解説します。
低コスト・高効率
APIは専門の事業者が提供しており、大量のデータ学習や専門的なアルゴリズムの設計などはサービス提供もとが既に実施しています。
そのため、自社だけで画像認識システムの導入を目指すよりもコストや工数を大幅に削減することに繋がります。
柔軟なカスタマイズ
多くの画像認識APIは、ユーザーのニーズに応じてカスタマイズが可能です。
API内部の処理は変更できなくても、APIからのレスポンスにより自社システムの動作を変更するなど、柔軟な運用を実現しやすいと言えるでしょう。
自社システムの独自要件や変動する環境に対する対応力が高く、長期的な運用を視野に導入できます。
短期間での導入
API形式で提供されるサービスは、自社のソフトウェアや運用に組み込みやすいと言えます。
既存のシステムに新たな機能を追加する場合でも、APIとのやり取りを行なう部分の修正をすれば利用可能なため、導入しやすい形態です。
有用なシステムのスピーディな導入は、企業の競争優位性を保つためにも重要な要素であり、画像認識APIの強みと考えられます。
既存のシステムや業務と連携させやすく、導入も比較的容易であることが画像認識APIのメリットと言えます。
画像認識APIの選定ポイント
画像認識APIを導入する際は、数あるサービスから自社にマッチしたものを選定する必要があります。
どのような観点で選定すれば良いのか、ポイントを解説します。
精度
顔認証のようなセキュリティ分野では第三者を承認してしまう、医療や自動車では誤認識により人命を脅かしてしまうなど、画像認識の精度は重要な要素と言えます。
システムログインのような使い方であっても、認証が成功しにくいことで業務効率の低下を招くリスクもあります。
処理速度
リアルタイムでの解析が必要な場合、APIの処理速度が重要です。
APIでは実際の処理を手元の端末ではなく、APIが動作しているサービス側のサーバーで行ないます。
利用プランなどによる変更ができない場合、自社の都合で性能アップすることは基本的にできません。
自動運転車や工場での品質検査など、速度が求められるシーンは多く、自社が求める処理速度を実現しているAPIを選択する必要があります。
カスタマイズの可能性
用途に応じてAPIをカスタマイズできるかも重要な要素です。
APIへリクエストを送る際のパラメーターや、レスポンスデータの加工、利用のしやすさなどを事前にチェックしましょう。
多機能なAPIであれば適切なリクエストを行なうことで必要な処理が完結する場合もありますが、ビジネスの状況により画像認識の用途変更や規模拡張が必要となるケースもあります。
一部のAPIは高度なカスタマイズを可能にしているため、業務にマッチしたものを選定しましょう。
コスト
使用回数やCPUの使用量など、コストの掛かり方はAPIによって様々です。
同等の使用量であっても、使い方によってはAPIの使用料金に大きな差が出てしまう可能性もあります。
自社の用途を明確にし、使用量や使用方法を事前に把握しておくことでコストの最適化を図ることに繋がります。
自社の用途や求める性能により、最適な顔認証APIは異なります。
画像認識APIを有効活用し、ビジネスを展開しよう
画像認識自体は極めて専門性が高く、システムの実装自体にも多くの知識が要求されます。
しかし、APIとして画像認識「機能」へアクセスする手段が提供されることで、ユーザーは容易に画像認識システムを活用することが可能です。
機能やカスタマイズ性が充実したAPIであれば、既存のビジネスに画像認識システムを組み込むことは現実的な選択肢と考えられるのではないでしょうか。
従業員の顔を認証してシステムログインやオフィス入退室を管理できる顔認証、受付で来客者の顔を認証する無人受付、店舗で買い物客の顔を認証して決済を行なう顔認証決済など、画像認証を応用した顔認証システムも、多くのシーンで活躍しています。