ディープラーニングを用いた画像認識技術は、医療からセキュリティ、ビジネスの効率化など、活用シーンの拡大が続いています。
AIや機械学習などと併せて語られることの多いディープラーニングについて、具体的にどのようなものなのかは把握していない方もいるのではないでしょうか。
ディープラーニングにより、画像認識技術や大きな進化を遂げています。
この記事では、ディープラーニングの基本的な知識や、それにより画像認識技術がどのように発展しているのかを解説します。
ディープラーニングとは
ディープラーニングの仕組み、特徴を解説します。
AIや機械学習の分野は幅広く、新たな仕組みや概念が多く登場しているため、ここでは一般的な知識としてディープラーニングを解説します。
ディープラーニングとは
コンピューターへ物事を学習させる方法のひとつがディープラーニングです。
一般的な機械学習では、コンピューターが物事を認識する際の「特徴量」を人間が指定し、大量のデータを読み込ませることで学習が進みます。
これに対し、ディープラーニングでは特徴量の調整自体もコンピューターが行ないながら学習します。
人間による作業量が減ることで学習スピードが向上し、より高度なコンピューターによる判断を期待できます。
ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングは、複数の「層」を積み重ねたニューラルネットワークを使用します。
「入力層」へデータを入力し、いくつかの「隠れ層」を通過して「出力層」から結果が出力される形です。
各層には数多くの「ニューロン」と呼ばれる計算単位があり、層と層との間で情報のやり取りをしながら処理を行ないます。
各層でデータの扱いや重要度(重み)を調整し、多くの層で計算を行なうことで複雑なパターンや特徴の学習や出力が可能となっています。
ディープラーニングの得意分野
画像認識、自然言語処理、強化学習など、様々な分野で活躍しています。
特に、大量のデータを処理する必要がある場合や、高度な特徴抽出が求められるケースはディープラーニングの得意分野と言えるでしょう。
画像認識においては、人の顔の認識や物体の識別を行なうことができ、環境によっては人間の目を超える精度を出せる場合もあります。
ディープラーニングは多くの分野で活躍しており、画像認識にも強みを発揮できます。
▶️ 参考記事「画像認識に使用されている「アルゴリズム」とは?機械学習やディープラーニングについても紹介」
ディープラーニングによる画像認識の仕組み
ディープラーニングでは、どのような仕組みで画像を認識しているのかを解説します。
データの入力と前処理
認識する対象の画像を、意味のある画像としてではなくピクセルの集合として読み込みます。
ピクセルの色情報を数値化し、ひとつひとつのピクセルをシステムが認識できる形に整えます。
特徴抽出
前処理により整形されたデータをディープラーニングの各層により処理します。
単純な線や形、色の判定から始まり、層が深まるにつれて複雑な認識ができるようになっていきます。
基本的にはこれを繰り返すことで、人間のような識別能力を実現していきます。
何の画像なのかを分類・判断
特徴を抽出し、複雑な認識を経て、最終的にその画像は何なのか?を分類します。
その画像がリンゴであるという分類や、犬と猫の分類、さらに高度化されることで人物の顔の識別やイレギュラーな状況の判別に繋がります。
実際には分類するべき様々なカテゴリがシステム内に存在しており、その中で最も確率が高いものを認識結果として出力することが一般的です。
ディープラーニングによる画像認識は、現時点でも高い精度を誇ります。
しかし、画像の「意味」をコンピューターが理解しているわけではなく、学習したデータと照らし合わせて確率の高い結果を出力しているという動作です。
▶️ 参考記事「画像認識の仕組みとは?認識までのプロセスから歴史、活用シーンまで」
画像認識とセキュリティの関係
様々な場所で活用される画像認識が、多くの企業で需要が高まっている分野として「セキュリティ」があります。
画像認識によるセキュリティとは
画像認識は、カメラやセンサーが捉えた画像から特定の情報を抽出し、認識する技術です。
これにより、警備や守衛、監視カメラなど、人間が行なっていた業務をシステム化することが可能となります。
また、個人の顔を認証することで権限を照会し、システムログインや特定区画への入退室なども実現されています。
システムログインなどのセキュリティ
システム関連のセキュリティにおいて、重大なリスクのひとつとして挙げられるのが第三者による不正アクセスです。
これによりマルウェアの侵入や情報漏洩、システムの破壊など、企業にとって致命的なダメージを負ってしまうケースも散見されます。
不正アクセスが起こってしまう理由は様々ですが、セキュリティ強度の低い認証システムが代表的な原因のひとつです。
IDとパスワードの組み合わせだけで認証している場合、第三者に認証情報が漏洩したら簡単に不正アクセスを許してしまうでしょう。
その他、パスワード認証を突破するために辞書攻撃やリスト攻撃などの手法も存在しています。
顔認証システムでは、偽装が極めて困難な顔データを用いて本人の顔を識別します。
これにより、今認証を行なっている人物が正規の権限を与えられた人物であることを確認することが可能となります。
オフィスやデータセンターなどの物理的なセキュリティ
オフィスやデータセンターにおいても、画像認識は入退室管理に役立っています。
例えば、カメラで顔を認識してドアを開けるシステムや、異常行動を検出して警報を発するシステムなどがあります。
従来、物理的な侵入や不正行為を防ぐためには警備の強化や従業員への教育など、人的な負担を伴って対策することが一般的でした。
顔認証システムであれば、常に一定の精度で広範囲を監視することが可能となります。
▶️ 参考記事「顔認証による入退室管理システムとは?仕組みやメリット・活用事例を解説」
セキュリティ用途では、特定の専門事業者に限らず多くの環境で画像認識を活用できます。
画像認識により業務効率化やセキュリティの向上を見込める
画像認識は、近年新しく生まれた技術ではなく文字認識(OCR)などでかねて活用されてきました。
ディープラーニングにより学習が容易になり、飛躍的に精度やスピードが向上したことが、近年画像認識が注目を集めている理由のひとつと考えられるでしょう。
コンピューターや各種デバイスといったハードウェアの性能向上に加え、ディープラーニングのような学習方法が発展していくことで、今後も画像認識の性能向上や活用シーンの拡張は進んでいくと予想されます。
また、画像認識は近未来的な用途に限らず、既にビジネスの現場でも有効活用されています。
製造業や小売店、一般的なオフィスはもちろん、システムの認証もカバーしており、それを実現するサービスも多く存在します。
安全なビジネスの継続や発展を実現するためのアプローチとして、画像認識は有効な手段と考えられるのではないでしょうか。