いま、多くの企業が新型コロナウイルスへの対策として、オフィス改革、テレワークや時差出勤の推奨、職場の換気や消毒と言った対策を講じています。これらの対策は「感染経路を断つ」ものです。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が示した感染症対策の基本には、この他に「感染源を断つ」が挙げられています。企業が取り組むことができる「感染源を断つ」対策として、「従業員の体調管理」があります。その方法の一つである「検温」について、企業はどんな方法を導入していて、どんな課題を抱えているのかを紹介していきます。
温度測定でのスクリーニングを62.8%の企業が実施している
新型コロナウイルスの症状の一つが発熱です。コロナウイルスに限らず、毎年流行するインフルエンザも発熱が特徴ですし、一般的な風邪も同様です。「発熱」は感染症を疑う重要な指標です。そこで、企業が行う「感染源を断つ」対策、つまり感染者やその疑いがある人を社内に入れないためには、「体温の確認」が重要な手段になります。
現在、外出自粛が緩和され、映画館や劇場など人が集まる場所の営業が、制限付きとはいえ、始まっています。それらの娯楽施設や人が集まる病院などでは、入場時に検温を行っているところがほとんどです。企業でも、弊社が今年8月に行ったアンケート調査によると、「出社時の検温の報告を義務付けている」と回答した企業が62.8%になっています。現在、検温を義務付けていないと回答した企業の中でも約2割の企業が「今後、義務付ける予定がある」と答えており、全体で見ると約7割の企業が検温の報告を義務付けている、あるいは予定していることになります。
接触型、非接触型…検温はどんな方法がいいのか?
検温の報告を義務付けている企業が多数派というアンケート結果ですが、実際にはどのような方法で検温を行っているのでしょうか。
調査によると上記のような結果になっています。自己申告で行っているという回答が少ないのは、検温漏れや虚偽の報告の可能性があるなど、自己申告の信頼性の低さを自覚している企業が多いからかもしれません。
たしかに自己申告に頼らず、出社時に入り口で検温を実施することで検温漏れはなくなりますが、以下のような課題もあります。
- 検温に時間がかかり、列ができてしまう(密の発生)
- 検温を実施する担当者の確保が難しい
- 検温を記録する担当者の負担が大きい
「誰が、いつ何度だったのか」という記録を残すことは重要です。しかし、入り口で紙に記入し記録する場合、感染者が出たときに、感染者が出社した時間帯に誰が出社していたのかといった出社履歴や行動履歴、接触履歴を確認するのに大きな負担が発生してしまいます。
最も多くの企業が採用している非接触型体温計であっても、採用している企業からは「精度が悪い(37.1%)」「ごまかしができる(30.3%)」という指摘がありました。検温のために使われている機器はいろいろありますが、企業にとって満足できる機器は少ないようです。
19.3%の企業が導入する「温度検知機能付き顔認証デバイス」とは?
アンケート結果で導入している検温方法として19.3%を占めていたのが「温度検知機能付き顔認証デバイス」です。耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、顔認証システムと温度検知機能を組み合わせ、温度検知と顔認証をAIの活用により高い精度で実現している「AI温度検知ソリューション」です。
その特徴は以下の通りです。
- 温度測定を実施する担当者を配置する必要がない
- 温度検知の速度が速い ※SenseThunderは0.3秒(温度検知のみ)
→測定待ちの列ができず、密が発生しない - 温度検知と顔認証を同時に実施し、「誰が何度だったのか」を自動で記録できる
→デジタルデータで保管するので後からその行動履歴を把握しやすい
AI温度検知ソリューションのメリットは、手間を最小限にしつつ、密を避け、発熱者の特定と出社履歴の確認がスピーディにできることにあります。また、温度が異常状態であることを検知したらアラームを発するだけでなく、マスクをしていない人に対してもアラームを発することもできます。もちろん、マスクをしたままでも顔認証が可能です。
企業が「感染源を断つ」ために欠かせない検温ですが、体温計による検温には担当者のリソース確保の難しさ、検温時や記録時の手間の煩雑さ、発熱者の追跡の困難さなどの課題があります。「温度検知機能付き顔認証デバイス」はそれらの課題を解決できるソリューションであると言えるかもしれません。
まとめ
今回実施した調査からは、多くの企業が「検温」を実施している反面、その精度、検温にかかる人的リソースの確保、収集した体調データの管理・運用に課題を持っていることがわかりました。たしかに、テレワークや時差出勤、分散出社が定着しつつあるいま、検温のために人員を割くのは現実的に難しいでしょう。手書きでの記録の管理も大変です。
人手を割かず、正確に温度検知を行い、容易にさかのぼれるような形で記録する。
それらが実現できる「AI温度検知ソリューション」の導入は検討に値するのではないでしょうか。