コラム

マスクをしたまま顔認証をする方法と、マスク認証の新しい技術を紹介

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近年では顔認証の技術が進んでおり、スマートフォンのログインに顔認証を利用しているという方も多いのではないでしょうか。その中で、マスクをしていると顔認証できないという問題があるのも確かです。感染症対策でマスクをしていても、認証時に一旦マスクを外す体験をした方もいるでしょう。

本記事では、マスクをしたまま顔認証ができる機能の導入を検討している方に向けて、マスクをしたまま顔認証をする方法と、マスク認証の新しい技術を紹介します。

マスクをしたままでの顔認証が難しかった過去

なぜマスクをしたままでの顔認証が難しかったのでしょうか。ここでは、顔認証においてマスクをしたままでの認証が難しかった理由を解説します。

顔認証は顔のさまざまなパーツを認識して照合を行っている

顔認証は、顔の輪郭や、目、鼻、口の位置を認識し、登録したデータと照合することで人を認証しています。そのため、マスクをしたままだと、顔の半分以上がマスクに覆われてしまい特徴が認識できなくなります。

世界中の科学技術の研究を行っているNIST(アメリカ国立標準技術研究所)が2020年7月に発表した調査結果によると、商用の顔認識アルゴリズムのうち最も有能と判断されたものでも、マスクありの場合5~50%の照合エラー率が出ています。また、有能なアルゴリズムでもエラー率は20~50%に登るとのことです。(アメリカ国立標準技術研究所調べ

この結果からもわかるとおり、鼻から下の大半を隠してしまうマスクは顔認証の精度を大幅に落としていたのです。

スマートフォンの顔認証ができない不便さ

特に不便なことが、マスクをしたままスマートフォンでの顔認証ができないことでしょう。顔認証が可能なスマートフォンは数多くありますが、マスクをしたままだと認証できないものも多くありました。

しかし近年、マスクをしたままでも顔認証ができるスマートフォンも登場しています。技術力の進歩に伴い、スマートフォンのような限られたサイズのデバイスでも性能の高いシステムを搭載できるようになっているのです。

技術の向上によりマスクを着用したままでも認証可能なシステムが普及

スマートフォンに限らず、マスクを着用したままでも認証可能な顔認証システムが普及しています。感染症対策にマスク着用が推奨される中、マスクをしたままで顔認証ができる仕組みは必須といえるでしょう。

マスク×顔認証を実現した新技術を紹介

ここでは、マスクを着用したままの顔認証を可能にした、国内企業の新しい技術を紹介します。

目に重点を置いた顔認証エンジン

国内企業のA社は、「目」に重点を置いたエンジンを使用することでマスクをしたまま顔認証が可能になるシステムを開発しました。

まず、撮影した顔画像からマスクをつけているかつけていないかを判定します。その後、マスクありの場合のアルゴリズムとマスクなしの場合のアルゴリズムに切り替えて顔認証をします。これによりさまざまな柄のマスクで社内評価99.9%以上の高精度な顔認証を実現しています。

マスク合成技術で顔認証の精度向上

B社では、マスク合成技術で顔認証の精度向上を実現しています。マスクをつけていない顔画像にマスクの画像を合成させて学習させる技術を開発したのです。

さらに、マスクによって隠れた部位を無視し、マスクによって隠れていない、認証に有効な特徴に重みを与えるように学習する技術を取り入れています。

マスクを着用した来店客の性別と年齢を推定できる機能

C社では、マスクを着用した来店客の性別と年齢を推定できる機能でマスク認証を可能にしました。

C社のマスク認証は、まず顔画像からマスクの有無を判定し、それぞれにあった特徴量を照合するという手法を取っています。このシステムでは一度に15万人照合が可能で、顔の向きや角度が違う場合も本人認証エラーを低減させています。

マスクしたままの「顔認証×温度検知」とは

マスクをしたままでの顔認証は、温度検知と組み合わせることで活用の幅が広がります。ここでは、顔認証と温度検知について説明します。

顔認証×温度検知のニーズの高まり

今では街を歩く人のほとんどはマスクをしており、マスクの着用は新しい日常になっています。さらに、体調変化に敏感になった昨今では、体温の計測を求められる機会も増えたことでしょう。

しかし、スマートフォンの顔認証など、いちいちマスクを外さないと認証できない、認証速度が遅いという面倒も生じています。マスクをすることで不便が生じてしまっているのです。

「AI温度検知ソリューション」なら、AIを活用することで、マスクをつけたままでも高速・高精度な顔認証と温度検知を実現します。

JCVが提供する「AI温度検知ソリューション」とは

「AI温度検知ソリューション」とは、顔認証と温度検知がまとめて実施できるソリューションです。ソリューションに搭載されたAIが顔や額の位置を検出し、複数の温度点のデータを収集し、室温の影響などを補正して温度検知を行います。顔認証と温度検知を同時に実施することで、登録済みの従業員データと自動的に紐づけ、データ管理の手間を削減できることもポイントです。

さらに、マスクをしたままでも高速・高精度に顔認証を行えます。マスク着用の有無を検知してその場でアラートを出すことも可能です。マスク着用という今では当たり前の感染症対策を従業員や来訪者に促し、マスクの常用を強く意識させることができるでしょう。

「マスクしたまま」の健康管理が求められるwithコロナ時代

withコロナ時代に、感染症対策として企業にできることは何があるのでしょうか。ここでは、withコロナの健康管理について詳しく見ていきます。

withコロナ時代の健康管理とは

withコロナ時代の従業員の健康管理は、「体温を測定すること」だけが目的ではありません。発熱している従業員の入室を制限し、ウイルスを持ち込ませないようにすること、マスク着用という当たり前の感染症対策を定着させること、万が一社内に感染者が出た場合は早期に濃厚接触者を特定し、適切な処置を行うこと。ここまでの管理を徹底するために、「測定した体温が誰のもので、その人物がどのような行動を取っているか」までを明確にする必要があります。

マスクに対応していない顔認証のデメリット

マスクに対応していない顔認証のデメリットは、以下のようなものがあります。

・マスクの着脱が必要になり感染防止の観点でリスクが高くなること
・顔認証の精度が低く認証速度が遅いと、密になる可能性があること
・マスクの着脱が従業員のストレスになること
・マスクに対応していても顔認証の精度が悪いと個人との紐付けが不正確になること

です。簡易的な顔認証システムだと、クラスター発生や感染症の拡大にも繋がりかねません。マスクをしたままでも高速で正確に認証ができるシステムを導入することが必須だとわかります。

「マスクしたまま」の顔認証×温度検知のメリット

マスクをしたままの顔認証・温度検知のメリットは、以下のようなものがあります。

・マスクをつけたまま、非接触・無人で温度検知を行うことができる
・認証の度にマスクを外す必要もないため、従業員のストレスも少ない
・マスクの着脱に伴う感染リスクを軽減できる
・マスクをつけたまま高速で顔認証が可能なため、密を作らない
・温度検知結果と個人の紐付けも自動で履歴に残すことができる


従業員の体調管理は、今や企業として必須のものとなりました。マスクをつけたまま顔認証ができる高精度なシステムを組み込むことで、従業員のマスク着脱のストレスや感染リスクの軽減、密の回避、従業員データとの連携による体温の管理が、手間なく実施できます。JCVの「AI温度検知ソリューション」なら、マスクをしたままでも高速・高精度でマスクに触れずに顔認証ができ、非接触で温度検知が行えます。

「AI温度検知ソリューション」はwithコロナ時代の「健康管理」の定番のソリューションとなっていくでしょう。

※本コラムで表記する検温・検温器とは「温度検知を行う行為・機器」を総称して使用しています。また、体温計とは薬機法に定められた基準で「体温を測定する機器」となります。

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