働き方の多様化により、勤怠管理システムはリモートワークやフレックス制への対応など多機能化が進んでいます。勤怠の打刻方法も同様、従来のタイムカードやICカード、生体認証など様々な打刻に対応するサービスが登場しています。
今回は、生体認証で非接触打刻が実現できる、顔認証打刻について説明します。顔認証のメリットや付加価値など、新しいオフィススタイルのひとつとして、ご確認ください。
顔認証による勤怠管理とは
顔認証による勤怠管理の特徴を解説します。
顔認証勤怠管理の仕組み
顔認証を用いた勤怠管理では、従業員の顔写真登録が必要です。顔写真と従業員番号などを紐付けて「この顔は誰か」を登録します。それは、ICカード番号と従業員番号を紐付けることと同じです。
つまり「登録した写真」がICカード番号と同じ役割を果たすのです。写真と顔が一致することが認証になるので、当然ICカードは不要になります。
顔認証勤怠管理の実施イメージ
顔認証による勤怠管理を導入した場合、以下のような運用が一般的です。
1.従業員の顔情報をデータベースに登録
従業員個人を識別し、顔認証で打刻を行なうためには、事前に顔データを登録する必要があります。
2.勤怠システムと顔認証の連携
登録した顔データと、勤怠管理システムを連携し、顔認証時に打刻が行なわれる環境を整えます。
顔認証機能に勤怠管理システムが付随しているサービスもあるため、自組織で実現できる方法を検討しましょう。
3.従業員の出退勤時に、顔認証を行なう
ICカードやタイムカードでの打刻が、顔認証に置き換わります。
顔認証によりオフィス出入り口の解錠を行える入退室管理と組み合わせるケースも多く、顔認証による打刻を行なわないとオフィスに入れない仕組みであれば、打刻忘れの心配もありません。
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製品によって仕様や運用が異なるケースもありますが、基本的には従来の打刻作業が顔認証に置き換わると考えるとよいでしょう。
顔認証による勤怠管理システム導入時の検討ポイント
顔認証による勤怠管理は様々なメリットがあります。
実際に導入を検討するときに意識しておきたいポイントを紹介します。
認証精度
顔認証は生体認証の中でも認証の手間が少なく、精度も高いと言える方式です。
しかし、認証場所の光量が極端に高い、または光量が足りないなどの場合は認証精度が低下する場合があります。
また、マスクやサングラスを着用しているシーンで認証を行えるのかにも注意しましょう。
多くの場合ではカメラの角度や配置を工夫することで一定の精度を確保することができますが、十分な精度を得られるのかを実際に確認する必要があります。
運用難易度
顔認証技術は高度な専門知識、技術によって実現されています。
多くのサービスは利用者が扱いやすいように調整しサービスとして提供されますが、些細なトラブルの対処や運用変更すら難しいといった状態では導入後に期待した効果を得られない恐れがあります。実際に運用を担当する従業員が問題なく扱うことができるサービスであるかをチェックしましょう。
サービスのサポート体制
顔認証システム自体のトラブルや、運用上の問題点など、実際に導入した後に課題が発覚するケースもあります。そのような対応に不安がある場合は、顔認証サービス提供元のサポート体制を確認し、「いざというときはサポートに頼れる」状態であるのかを意識しましょう。
導入前に自組織の環境とサービスの特性を理解し、問題なく運用できるのかを検討することは非常に大切です。品質の高いサービスであっても、自組織の環境や要望にマッチしていなければ期待した効果を発揮することは難しいでしょう。
顔認証による勤怠管理の導入事例
顔認証勤怠管理がどのように活用されているのか、事例を紹介します。
高速な認証で打刻時の行列を緩和
子供向けのアミューズメント施設を展開するイオンファンタジーでは、コロナ禍を機に静脈認証から顔認証への移行を実施しました。
感染防止の観点からも有効な非接触認証である顔認証ですが、認証精度・速度の高さからこれまで頻発していた打刻待ちの行列解消にも繋がっています。
大人数の従業員が出退勤する環境では効果を発揮しやすく、年間2,880時間の省力化に成功しているようです。
入退室管理と組み合わせた顔認証勤怠管理
工場の新設や移転を検討している国内製造企業では、出勤時に行なっている従業員の検温自動化や、勤怠管理の効率化を実現するシステムを探していました。
また、危険エリアの入室制限や物品の入搬出の観点から、スムーズでセキュアな入退室管理も工場での業務では重要となります。
顔認証システムを導入することで、従業員の検温が自動的に記録されるだけではなく、ICカードの紛失防止や作業区画へ出入りした有資格者の判別、無資格者による不正な作業防止など、勤怠管理以外の面でも効率的で健全な業務遂行に役立っています。
顔認証により、手間のかからない正確な勤怠管理が実現されています。
正確な勤怠管理は認証方式が重要
勤怠管理は多くの企業で実施されており、従業員の労働実態を把握するために極めて重要であると言えます。
しかし、記録されている勤怠データの正確性や、勤怠を記録する手間から目を背けてしまっては期待通りの効果が発揮しない恐れもあるでしょう。
正確なデータを常に記録し、管理部門の負担も抑えるためのアプローチとして、顔認証が有力な選択肢と言えます。勤怠管理システムの打刻方法を顔認証に変えることで、労働時間の適正な管理だけでなく、オフィスの入退室管理にも応用が可能です。
オフィスのあり方が問われる今、労働環境のマネジメントは、大切な確認事項です。積極的に検討をしてみてはいかがでしょうか。