顔認証システムの導入を検討していても、その仕組みや具体的なメリットがわからずに悩んでいるという担当者も多いのではないでしょうか。導入に必要なコストがどのくらいになるのかも気になるところです。
そこで今回は、顔認証システムの仕組みや導入のメリット、価格などについて詳しく解説します。具体的な活用例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
顔認証システムとは?
「目」「鼻」「口」「輪郭」などの特徴で本人を識別する生体認証のひとつです。生体認証は、身体的または行動的な特徴をデータベースに登録し、検出データと照らし合わせることで本人を識別する認証方法です。近年では顔のほかにも、指紋や静脈などを使った生体認証が広く普及しています。
カメラなどで人の顔を検出し「データベースのどの顔データと一致するのか」を識別する仕組みが「顔認証」です。
※顔認証についてはこちらの記事でも解説しておりますので、あわせてご確認ください。
顔認証システムの仕組み
顔認証システムは、オフィスや店舗の入口などに設置されたカメラで顔の情報を読み取り、データベースにあらかじめ登録済みの顔データと照合して、本人認証をおこないます。多くはディープラーニングされたAIが採用されているため、精度の高い照合が可能です。
※顔認証の仕組みについてはこちらの記事でも解説しておりますので、あわせてご確認ください。
1.顔検出
顔認証システムは、カメラに向けられた人の顔や、さまざまなものが映っている画像などから「顔検出」を実行し、人間の顔を見つけます。具体的には、目の周囲や鼻筋などの明暗をチェックして人間の「顔」を検出します。
2.顔の識別
顔の場所が判明したら、次に「誰の顔なのか」を識別するプロセスに進みます。この段階では、検出した目や眉毛、鼻や口といった「特徴点」と呼ばれるデータから、より精密な「特徴量」に変換し、特徴量の座標を数値にして「顔データ」へと変換します。
3.データの登録
「顔データ」に特定個人の名前やIDを紐付けて登録します。
4.認証
カメラなどで検出した顔と、登録されている顔データが、設定されたしきい値を越えれば、同一人物と判定されます。なお、近年ではディープラーニングされたAIによって顔認証データの精度が向上しているため、眼鏡やマスクをしたままでも本人認証が可能です。
顔認証システムによって異なる場合があります。
顔認証システムが活用されているシーン
顔認証システムは、すでにさまざまなシーンで活用されています。具体的な例をいくつか見ていきましょう。
顔認証システムで「DX」と「感染症対策」
アフターコロナを見据え、「DX」(Digital Transformation デジタルトランスフォーメーション)を推進させる感染症対策が、コロナ禍のいま進んでいます。DXとは、IT技術を用いた業務やサービスの変革で競争上の優位性を確立すること。
DXの具体例としては、オンライン上で振り込みが完結する「インターネットバンキング」や、各種チケットをオンライン上で購入できる販売システムなどが挙げられるでしょう。もちろん、顔認証システム活用したオンラインでの本人確認「eKYC」もDXのひとつです。マスク着用の有無を判断できる機能や、温度検知機能が搭載されている顔認証システムを導入すれば、非接触型の入退室管理や勤怠管理の実現も可能です。
※DXは、オフィスだけではなく、ホテルや飲食店などさまざまな分野で推進されています。DXと感染症対策をまとめたeBookを無料で配布しております。詳細はこちらをご覧ください。
オフィスの顔認証入退室管理
社員証の代わりに「顔認証システム」を導入すれば、社員の入退室管理も安全に行えます。認証手段が個人の「顔」になるため、社員証を紛失するリスクや、社員証再発行の手間を省けるでしょう。また、社員証では「なりすまし」の被害を防ぐのは難しいですが、顔認証システムなら心配は不要です。
※顔認証を活用した入退室管理システムについてはこちらで詳しく解説しておりますので、ご参考ください。
スマホやPCの顔認証ログオン
ログオンに顔認証を採用しているスマホやPCもあります。IDやパスワードを使った認証では、第三者による悪用や個人情報が流出する可能性が否定できません。しかし、顔認証なら本人以外のログオンを防げます。システムと連携すれば、ログオン履歴を使った勤務時間の管理や記録も可能です。
ホテルや商業施設での来訪者探知
顧客の顔データを顔認証システムに登録しておけば、特定顧客の来訪を探知してサービスを手厚くできるなどのメリットもあります。
また、スマートフォンに保存されている顔写真と、録画された監視映像の顔を照合すれば、遊園地や商業施設での効率的な「迷子さがし」などが具体例としてあげられます。
※こちらの記事に、よりの多くの具体例を記載しておりますので、ご覧ください。
顔認証システムの価格
月額10,000円以下で利用できるタイプや、セット購入で数十〜数百万円のものなど、さまざまな価格の顔認証システムがあります。一般的に顔認証システムの価格は、以下3つの条件によって大きく変わります。
1.顔認証デバイスの設置台数
従業員が少ないオフィスなら顔認証システムのデバイスは1台で済みますが、事務所の扉、拠点別にデバイスを設置する場合には導入費用も高くなります。
2.顔認証システムのタイプ
顔認証システムのタイプには、「エッジ型」と「サーバー型」があり、サーバー型には「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。
A.エッジ型
カメラと顔認証システムを搭載したデバイスが、セットになっているタイプです。
B.サーバー型
防犯カメラなどの映像をサーバーに送り、顔認証をおこなうシステムです。
B-1.オンプレミス型:
自社でシステムやサーバーを構築して運用するタイプです。システムのアップデートやメンテナンスも自社で行う必要がありますが、専用線を使うのでセキュリティレベルが高いというメリットがあります。ただし、デバイスのほかにサーバー設置費用や環境構築費用なども必要になるため、費用は高くなります。
B-2.クラウド型:
クラウド上の仮想サーバー環境を利用するタイプです。環境構築やメンテナンスを自社で行う必要がないため、オンプレミス型に比べると費用を安く抑えられます。
3.顔認証システムの初期費用と月額費用
エッジ型導入の際は、エッジデバイスを一括購入するものや、月額レンタル費用がかかるものがあります。
サーバー型では、オンプレミス型は、独自サーバーを構築するため、システム開発費用などの初期費用が高くなります。一方、システムの月額利用料はかかりませんが、システム管理の人件費やメンテナンス費が毎月発生します。
クラウド型はクラウドサーバーを利用するため、初期費用は低く抑えられますが、システム利用をするための月額費用が発生します。月額費用は利用する機能によって変わり、多機能なほど料金も高額になると考えていいでしょう。メンテナンスやアップデートサポートが含まれるシステムもあり、常に最新の状態で継続利用できます。
いずれのタイプを導入した場合でも、業務効率化による人件費の削減などで、長期的に見るとコストダウンにつながることでしょう。
企業が顔認証システムを導入するメリット
ここからは、企業が顔認証を導入するメリットについて、詳しく見ていきましょう。
オフィスの入退室やログインにおけるセキュリティを高めることができる
顔認証システムを導入すれば、なりすましによる不正なアクセスなどを防ぐことができます。「顔」という認証手段はセキュリティレベルが高いため、第三者がなりすますことが難しく、パスワードの流出リスクも低減できます。
パスワード忘れやID紛失によるリスクや無駄な業務を防ぐことができる
認証手段が「顔」になるため、パスワードを記憶したり、保管したりする必要がありません。また、社員証を紛失した場合に再発行する手間も省けるので、業務の効率化にもつながります。
入退室管理や防犯業務を効率化できる
顔認証システムは両手がふさがっていても認証できるため、利用者に負担がかかりません。認証スピードも早いシステムが多く、入室・退室の時間削減にもつながるでしょう。事前に顔写真を登録しておけば、外部の人の入退室管理もスピーディに行えます。
非接触なので衛生的に利用できる
顔認証システムは顔を向けるだけで本人を認証できるため、非接触で衛生的な生体認証が実現します。顔認証システムによってはマスクの着用有無を判別でき、マスクをしていない人物の入館を事前に拒否することも可能です。
なお、JCVが提供するAI温度検知サービス「SenseThunder」は、顔認証と温度検知を同時に行えるため、新型コロナウイルス対策に大きな効果を発揮します。最速0.1秒、最大5人まで同時に検知できる高い機能性は、人の滞留軽減にも役立ちます。
顔認証システムを導入して、コロナ禍を乗り越えよう
近年の顔認証システムは、AIによる高精度な本人認証も可能です。システムによっては、マスク着用の確認や温度検知も同時に行えます。従業員や利用者に安心感を提供するためにも、感染症対策に役立つ機能が搭載されている顔認証システムを導入して、コロナ禍を乗り越えましょう。
世界最高峰の画像認識・顔認証テクノロジーを活用した映像解析や温度検知など、多彩なソリューション・SDK(ソフトウェア開発キット)を展開している日本コンピュータビジョン株式会社(JCV)。エッジ・サーバーはもちろん、モジュールやSDKも含めた幅広い顔認証システム製品を提供しております。