コラム

スタジアムへの導入が進む顔認証 球場からオリンピックまでの最新事例

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スポーツ観戦やイベントなどで数多くの人が詰めかけるスタジアムでは、スムーズな入場や警備コスト削減などの課題を抱えています。このような課題を解消するのが「顔認証システム」です。すでに顔認証システムの導入を検討しているスタジアムの運営関係者も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、顔認証導入で解決できるスタジアムの課題や導入事例、顔認証技術によって東京オリンピックの課題点をどのように解決したのか、今後の展望などについて詳しく解説します。

急速に進むスタジアムへの顔認証システム導入

まずは、顔認証の技術や、世界的に進むスタジアムへの顔認証システム導入について見ていきましょう。近年では、顔認証技術の向上と精度の高さで、顔認証が導入される場面が大きく広がってきています。

目覚ましく進展した顔認証技術

「顔認証」とは、「目」や「鼻」「口」などの位置と大きさで本人を認識する生体認証のひとつです。近年ではスマホでの顔認証も普及し、顔認証は一般的な技術となっているため、本人確認の方法として採用する企業も増えてきています。

認識の高速化や高精度化だけではなく、多人数の同時認識やマスク着用時の認識、正面以外での認識などが実現し、顔認証の弱点とされていた誤認証は大幅に減少しました。

世界的に進むスタジアムへの顔認証導入

顔認証システムの著しい技術向上に伴い、スタジアムのような大規模施設への導入も進んでいます。万単位の観客や関係者が出入りするスタジアムの管理は煩雑になりますが、顔認証システムを導入すれば、観客の入場時間短縮と業務の大幅な効率化が実現します。

以下は、顔認証システムを導入している国内外のスタジアムの一例です。

・ 沖縄アリーナ

2021-2022シーズンのB.LEAGUE開幕戦でソフトバンクが提供する顔認証ソリューション「Face&Go」で、顔パスによるファストエントリーの実証実験が行われました。

・シティ・フィールド

メジャーリーグ「ニューヨークメッツ」のホーム球場です。収容人数は約45,000人で、野球の試合だけではなく、コンサートなどにも使用されることがあります。

・バンク・オブ・カリフォルニア・スタジアム

アメリカ・カリフォルニア州にあるサッカー専用スタジアムです。収容人数は約22,000人で、全体的にプレーが見やすい造りになっています。

・ガスプロム・アリーナ

ロシアのクレストフスキー島にあるサッカー専用スタジアムです。2017年の開場で、約68,000人を収容できます。

スタジアムにおける認証の課題

多くの来場者がいるスタジアムでは、認証におけるさまざまな課題を抱えています。主な課題を詳しく見ていきましょう。

観客の長い待ち時間

スタジアムの入場や各種サービスの利用には時間がかかるため、長い行列が常態化しています。 入場者一人ひとりをチェックする作業はどうしても時間がかかってしまうため、各スタジアムでは観客の長い行列を解消する新たな方法を検討する必要に迫られているのです。

入場チェックのコスト

万単位の観客のチケットを係員が一人ひとり「もぎる」スタジアムでは、人件費の負担も大きくなります。また、関係者の出入りも顔と身分証などでチェックする必要があるため、入退場の対応に時間を取られ、本来の業務に割ける時間が圧迫されてしまうのです。

セキュリティの確保

不特定多数が出入りするスタジアムでは、セキュリティの確保も急務です。危険物の持ち込みやテロ対策、フーリガン対策など、問題は多岐にわたります。

コロナ禍への対応

新型コロナウイルスの世界的な流行によって「感染予防」という新たな課題も浮上しました。万全の感染対策を施さなければ、スタジアムの運営自体が難しくなってしまいます。観客が安心してスタジアムを利用できるようにするために、「密」を作らない観客の管理方法やマスクの正しい着用などの徹底が求められているのです。

顔認証システムのスタジアムへの導入事例

ここからは、実際に顔認証システムを導入しているスタジアムの事例をご紹介していきます。顔認証システムはスタジアムが抱えている課題を解消するだけではなく、さまざまなサービスの提供や観客の利便性を高めるツールとしても活用されているのです。顔認証システムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

マスク着用状況をリアルタイム解析するAドーム

プロ野球チームの本拠地「Aドーム」では、「マスク着用検知ソリューション」の導入による感染症対策を実施しています。マスクの着用率を時間帯別に算出して解析し、感染症対策に利用するデータの収集とリアルタイムでの注意喚起などに活用しているのです。

顔認証でVIPに特別な「おもてなし」をするBスタジアム

プロサッカーチームの本拠地「Bスタジアム」では、顔認証システムを導入した入場の自動化だけではなく、VIP会員向けの特別なサービスも行っています。対象となるVIPは、次のようなサービスを受けられます。

・入場の自動化

・歓迎メッセージ

・スタッフへの来場通知によるお出迎えやプレゼントお渡しなどの特別待遇   など

ラウンジの利用からケータリングまでを顔認証だけで利用できるのもBスタジアムの特徴です。

入場の顔認証化に挑むCドーム

プロ野球チームの本拠地「Cドーム」では、野球の試合以外にもさまざまなイベントが行われているため、入場時の行列に頭を悩ませていました。この問題を解決する方法として導入されたのが、顔認証システムです。現時点では関係者の入退場管理に限定して顔認証システムを採用していますが、2022年からは一般客の入退場にも顔認証を活用する予定になっています。

なお、Cドームでは、ドーム内のショップにも顔認証システムを導入して、非接触決済と接客の迅速化を実現しています。

オリンピック計画に見るスタジアムの未来

ここからは、東京オリンピック開催に関わるスタジアムの課題やそれに対する解決方法から、スタジアムの未来を見ていきましょう。

過酷な条件が想定されていた東京五輪

東京五輪の関係者は、選手やスタッフ、ボランティアなども含めて30万人規模にもなります。さらに、会場は国立競技場や代々木競技場、日本武道館、有明アリーナなど、大規模な施設に分散されました。そのため、「感染症対策」と「選手や要人がストレスを感じない環境」の両立が求められたのです。

日本の高度な顔認証技術による解決

先述したように過酷な条件が想定されていた東京五輪ですが、さまざまな課題を日本の高度な顔認証の技術で解消しています。

今回のオリンピックに導入された顔認証は、「IDカードをかざすと即座に顔認証が行われる、顔とIDカードによる高精度な本人確認システム」や「30万人の顔認証データから瞬時に本人認証できるシステム」を使用しているため、平昌オリンピックと比較すると2.5倍の速さで本人認証が完了するのです。

顔認証システムは、各競技会場や選手村、メインプレスセンターなど約300箇所にわたる施設で導入されています。その精度の高さから、選手をはじめ大会関係者の入場におけるストレスを解消すると共に、無関係者の立ち入りを防ぐセキュリティの高さを実現しました。

今回の東京オリンピックへの顔認証システム導入で、大規模イベントにも対応できる技術力はすでに示されたため、各スタジアムにおける顔認証システムの導入は、さらに加速していくものと考えられます。

スタジアムでのニューノーマルは顔認証が標準装備へ

観客のスムーズな入場や感染症対策、コストの削減など、さまざまな問題を解決する顔認証システムは、今後も各国のスタジアムで導入が進んでいくでしょう。

世界最高峰の画像認識・顔認証テクノロジーを活用した映像解析や温度検知など、多彩なソリューション・SDK(ソフトウェア開発キット)を展開している日本コンピュータビジョン株式会社(JCV)。エッジ・サーバーはもちろん、モジュールやSDKも含めた幅広い顔認証システム製品を提供しております。

スタジアムの運営に顔認証システムを導入しようとお考えの方は、ぜひJCVの顔認証・画像認識技術の導入をご検討ください。

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