生体認証の導入を検討している担当者・経営者は多いと思いますが、顔認証と指紋認証のどちらを選択するべきかについては迷うところです。
どちらのシステムにも強みとメリットがあります。しかし、導入シーンや用途に応じた生体認証を選択しなければ、期待していた効果を得られない可能性があるので注意が必要です。
そこで今回は、主に下記について詳しく解説していきます。
・顔認証と指紋認証の違い
・顔認証と指紋認証それぞれの強みとメリット
・導入するならどちらにするべきか?
顔認証の具体的な活用シーンもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
顔認証や指紋認証など、使用が一般的になりつつある「生体認証」
生体認証は作られた鍵やICカードを使用するといった従来の方法と異なり、「本人の身体の一部」を認証に使用することで認証精度を高め、不正ログインなどを防ぐ画期的なシステムです。
近年では顔認証や指紋認証に限らず静脈認証、音声認証、虹彩認証といった生体認証が普及してきています。パソコンやスマートフォンだけではなく、オフィスの入退室や銀行ATMでの本人認証などでも生体認証を見かけるようになってきました。
顔認証とは
「顔認証」とは、カメラに顔を向けることによって本人を認証するシステムです。本人の「顔」を認証に使うため、第三者による不正を高確率で防ぐことができます。近年では、ロック解除を顔認証で行うスマートフォンの機種も増えています。
顔認証の強み・メリット
顔認証にはどのような強みやメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
さまざまなパターンに応じた認証が可能
近年の顔認証システムは、不特定多数の顔も同時に識別・認証することができるようになっています。また、一般的な2Dだけではなく、顔を3次元で認識できる3Dカメラを搭載したタイプも登場しています。
3Dタイプの顔認証システムは、顔写真を使った不正アクセスを防げるため、2Dタイプよりもセキュリティ面で優れているという特徴があります。マスクやメガネなどを着用していても本人を識別できる精度の高いシステムも少なくありません。
ただし、認証精度は顔認証システムによって大きく異なるので、導入前にスペックをチェックしておくことが大切です。設置場所や環境によっては認証精度が低下する顔認証システムもあるので、顔認証の強みを最大限に活用するためにも、利用シーンに応じた精度のシステムを選ぶようにしましょう。
非接触なので衛生的
カメラに少し顔を向けるだけで認証が完了するため、人や端末(機械)に直接触れる必要がありません。コロナ禍で衛生面を気にしている利用者や従業員が安心して利用できるのは、顔認証の大きな強みといえるでしょう。検温も同時に行える顔認証システムなら、発熱している人を検知して入場を拒否することも可能です。
利用者の心理的な負担が少ない
顔の識別から判定までの時間が短いため、利用者の心理的負担が軽くて済みます。指紋やカードなどを使った認証では手を出さなければいけませんが、顔認証なら両手が塞がっていてもスピーディーな本人認証が実現します。
例えば入場時、従来普及していた方法(紙チケットの使用など)では本人確認に時間がかかり、確認待ちの行列ができるといった問題も発生していました。しかし、顔認証はスムーズに本人認証を行うことができるため、利用者のストレスを軽減しながら、入場にかかっていた時間を削減することもできます。
指紋認証とは?
指紋認証とは、機器に指紋をかざすことで本人を認証する行うシステムです。スマートフォンでの認証では指紋認証が主流となっているため、実際に利用した経験がある方も多いと思います。
指紋認証の強み・メリット
顔認証にはどのような強みやメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
経年変化に強い
年齢を重ねても、指紋の形状はほとんど変わらないといわれています。そのため、一度指紋のデータを採取するだけで、ほぼ半永久的に本人認証に活用することが可能です。顔認証では誤認の可能性を指摘されている双子でも指紋は異なるので、そういった点での誤認リスクもほとんどありません。
片手を触れるだけで認証可能
片方の指を機械にかざすだけで認証できる手軽さも指紋認証の強みです。指を乗せるだけですぐに完了するスマートフォンの指紋認証で、その手軽さを実感している方も多いでしょう。
導入コストが安い
指紋認証は読み取り装置が小さいため、比較的導入コストが安いというメリットもあります。近年では非接触タイプの指紋認証システムも登場しているため、今後も活用の幅が広がってくる可能性はあるでしょう。
顔認証を選ぶべき場面は?
顔認証と指紋認証それぞれの強みとメリットを見てきましたが、顔認証はどのような場面で選ぶべきなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
スタッフの入退室管理
顔認証は、オフィスや店舗、工場などの入退室管理に適しています。入退室を顔認証で統一すれば、社員証を携帯したり、パスワードを暗記したりする手間はかかりません。また、不特定多数の顔をスピーディーに認証できるため、入退室時の認証にかかっていた時間を大幅に削減することも可能です。
店舗におけるマーケティング活用
顔認証システムは、利用者の年齢や性別をデータとして管理することもできます。従来はPOSシステムによって購買層の年齢や性別などを分析していましたが、接点のない非購買者の分析は事実上不可能でした。
しかし、顔認識の技術を利用すれば、来店者全員の推定年齢・推定性別を判別できるため、非購買層の行動を分析したデータをマーケティングに活用できるようになります。
オンラインでの本人確認(eKYC)
「KYC」とは、銀行口座の開設などで必要になる本人確認手続きの総称です。免許証や健康保険証などを送付して本人確認を行った経験は誰にでもあると思いますが、このKYCに「electronic」が付いた言葉が「eKYC」です。その名の通り、eKYCは本人確認手続きが「electronic(電子の)」状態でできるものであり、アナログな手続きが不要になります。
従来の「KYC」でもオンラインでの申請はできますが、最終的には郵送されてくる申込書を受け取ることで本人確認手続きを行います。銀行口座やクレジットカードの申し込みに数日要した経験がある方も少なくないでしょう。
しかし、顔認証を活用した「eKYC」なら、オンライン上で本人確認が完結します。一般的には、スマートフォンで運転免許証などの身分証明書をアップロードし、続いて自分の顔を認証させることで本人確認を行います。
サービスが利用できるようになるまでに数日かかっていた従来の方法と異なり、利用開始までの時間を大幅に短縮できるため、利用者とサービス提供者の双方に大きなメリットがあります。
不特定多数の人が出入りするイベント
イベントや商業施設での入退場者管理にも顔認証が有効です。不特定多数が出入りするシーンでの指紋認証は衛生面において不安が残りますが、顔認証なら接触する必要がありません。
必要最小限の警備態勢で済むのも大きなメリットです。中長期的な視点で考えれば、人件費の削減にもなるでしょう。
アフターコロナに備えて触れる「指紋認証」から触れない「顔認証」へ移行しましょう
顔認証と指紋認証、どちらにも強みとメリットがありますが、非接触での認証や認証以外の用途で幅広く活用できるのは顔認証の大きな特長です。
利用者や従業員が抱える衛生的な問題を解消できるのも、顔認証ならではのメリットといえます。アフターコロナに備えて、この機会に顔認証システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
JCVでは次のような製品で、さまざまな場面で導入可能な顔認証技術を提供しております。
・顔認証技術をさまざまなニーズに合わせて開発可能な開発キット「顔認証SDK」
・顔認証に加えて温度検知も行える端末「SenseThunder」
・既存システムにmicro USBで接続するだけで顔認証システムが実装可能な顔認証モジュール「M20 AI Visionモジュール」
今まで頭を悩ませていた問題を顔認証技術の導入によって解決できるかもしれません。顔認証システムの導入についてお考えの方はぜひお問い合わせください。