最近は、さまざまなシーンで顔認識システムを見かけるようになりました。新型コロナウイルスの影響で、非接触型認識システムの導入を検討している経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、顔認識の具体的な機能や仕組み、認識までのプロセスなどについて詳しく解説していきます。顔認識システムの活用シーンもご紹介しますので、システム導入の参考にしてください。
そもそも「顔認識」と「顔認証」の違いとは?
人間の顔を検知するうえで使われる「顔認識」と「顔認証」という言葉はよく混同されがちですが、違いがあります。
顔認識は、カメラに映った画像から人間の顔を判別し、そこで得られた情報からさまざまな分析を行うというものです。
一方の顔認証は、顔認識システムで検知した顔を登録されているデータベースと照らし合わせ、その人物が誰かということを識別するものです。
顔認識技術は、特定の個人を検知しなくてもよい場合に広く使われ、顔認証技術はカメラに映った人物が本人であるかどうか判断が必要な、セキュリティ面に関わる場面で広く使われます。
単なる識別じゃない?顔認識の優れた機能 ―複数人の認識から年齢の判別まで―
まずは、顔認識システムの優れた機能を見ていきましょう。顔認識は単に顔を認識するだけでなく、さまざまな機能を組み合わせて認識、判別、検知を行い、正確な判断をしています。
複数人でも認識・認証できる
近年の顔認識システムは複数人の顔を同時に認識することができるため、人の出入りが多い場所での実用にも向いています。
また、技術の発達により、正確でスピーディーな本人認証が可能となっているシステムも多くあります。認証精度が高いものはカメラの前で立ち止まる必要もなく、認証時にかかる時間やストレスが大幅に軽減されることでしょう。
年齢や性別も判別できる
顔認識システムには、顔だけでなく年齢や性別が認識できるものもあるため、店舗における非購買層の動向を分析したマーケティングにも活用されています。商品を購入しなかった客の年代や性別をビッグデータとして活用すれば、ターゲッティングやセグメントの設定に役立てることも可能です。
感情を検知できる顔認識システムも
システムによっては、高度なディープラーニングを駆使して喜怒哀楽も検知します。
従来のシステムでは、笑顔や怒りなどの比較的わかりやすい表情変化の認識が主流でした。しかし、近年の技術では、納得や戸惑いといった細かく複雑な感情変化の認識も実現しつつあります。
高精度な感情検知は、マーケティングにおける顧客の反応や、病院で患者の様子を観察するなどへの応用も検討されています。
顔認識の機能を司る複数の仕組み
顔認識では、主に「顔のパーツに関する情報」と「表情や感情など思考に関する情報」の2つを読み取ってデータ分析、場合によっては個人の特定を行います。
顔認識システムの仕組みと具体的な認識の流れは、次のとおりです。
- 対象の画像から顔と思われる部分を抽出する「顔検出」を行う
- 抽出した顔のパーツから特徴を検出してデータベースと照合する「顔照合」を行う
この「顔照合」には、2Dと3Dの2タイプがあります。
2D
人の顔を平面のイメージとして捉える方法です。目・鼻・口などから特徴的なパーツの位置や大きさを抜き出して、データベースと照合します。
3D
顔の凹凸をデータ化して、立体的な照合を行います。2Dよりも認識精度が高く、メイクやヒゲなどパーツの違いにもほとんど影響されません。写真を使った「なりすまし」も高確率で防げます。
顔認識・顔認証を選ぶべきさまざまなメリットとは?
顔認識・顔認証の主なメリットは次の3つです。
・遠距離かつスピーディーな認識が可能
・読み取り装置がコンパクトで比較的安価なものもある
・非接触で認識できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1:遠距離かつスピーディーな認識が可能
顔認識システムは、露出している「顔」をカメラに向けるだけで認識ができるため、完了までにほとんど時間がかかりません。システムによって認識時間は異なりますが、スペックの高いシステムになると1秒を切るタイプもあります。
なお、顔認識は、カメラで捉えられる範囲であれば、遠距離での本人認証にも対応できます。例えば指紋認証は物理的な接触が必要なので機器に近づかなければいけません。しかし、遠距離からの顔認識を活用すれば、認識のために移動する手間を省くことができます。
メリット2:読み取り装置がコンパクトで比較的安価なものもある
顔認識は基本的にカメラがあれば導入できるため、他の生体認証よりも導入コストを抑えられます。既存のカメラやスマホにコンパクトな装置を取り付けるだけという扱いやすさも魅力です。
同じ生体認証でも、静脈認証は装置が大きく認識も複雑で、蓄積データが少ないというデメリットもあります。虹彩認証はシステムが高額になりがちです。また、目の細い人は認識しにくいという問題点もあります。
メリット3:非接触で認証できる
機械に触れず本人認証できるため、新型コロナウイルスの感染防止対策にも役立ちます。本人認証と同時に体温を計測できる顔認証システムを導入すれば、感染の疑いがある人物の入場や入館を事前に防ぐことも可能です。
接触型認証とは異なり、スタッフと利用者双方の負担を軽減できるのは、顔認証システムの大きなメリットです。
顔認識の機能はどこで使われているか?具体的な活用シーンと方法
顔認識システムの機能は、その特性を活かして主に下記のようなシーンで使われています。
・イベントにおける来客の分析
・商店街における人流の分析
・店舗における来客層の分析
具体的な活用方法を詳しく見ていきましょう。
イベントにおける来客の分析
顔認識システムを使えば来場者数のカウントだけではなく、来客層の性別や年齢の分析もできるため、客層の変化を詳細に分析することもできます。イベント会場やテーマパーク、大型商業施設などでの活用事例も少なくありません。
また、要注意人物の検出や迷子さがしなど、イベントならではのセキュリティ対策としても利用されています。顔認識システムによっては、スマホに登録されている顔写真を使った迷子の捜索を行うことも可能です。
商店街における人流の分析
商店街を通行する人の数や歩いている方向、性別、年齢を分析することで「まちづくり」に役立てているケースもあります。集客や空きテナントを活用するためのマーケティング施策としても有効でしょう。
また、認証システムのある顔認識は、防犯を目的としたセキュリティシステムとしても導入されています。店舗に顔認識システムと連動した防犯カメラを設置すれば、前科や前歴のある人物が入店した瞬間にアラートを発することもできるため、万引きなどの犯罪防止に役立つのです。
店舗における来客層の分析
店舗やショッピングセンターでは、来客層の分析に活用されています。客の性別や年齢の分析だけではなく、天候と来客層を照らし合わせた多角的な分析を行うことができるため、新たなキャンペーンの創出にも有用です。
顧客属性をセグメント化すれば、クーポン配布やピンポイントでの広告掲出など、他の分析方法では難しいマーケティング戦略を展開することも可能でしょう。
顔認識・顔認証システムの機能や特性を理解し、上手く導入しましょう
顔認識には優れたメリットがたくさんがありますが、メーカーやシステムによって性能は大きく異なります。思わぬトラブルを避けるためには、導入前に顔認識システムの精度を確認しておくことが大切です。
なお、JCVではマスク着用時でも本人認証ができる精度の高い顔認識・顔認証システムを提供しています。複数人を対象としたスムーズな認識も実現できるため、オフィスの入館や大規模なイベント会場での利用も可能です。
今後もマスク着用での本人認証は必須になっていくと思われるため、この機会に高精度なJCVの顔認識システムを導入してみてはいかがでしょうか。