今では一般的に知られている顔認証ですが、どのような技術によって認証が行われているのでしょうか。「撮影した顔の画像を読み取り、登録画像との一致率を判定しているのであれば、写真を使ったなりすましができてしまうのではないか」と考える方も多いことでしょう。
これから顔認証を導入したいと考えている場合、どこに着目することで不正やなりすまし防止ができるのか大いに気になるところです。本記事では、顔認証の仕組み、最新の技術についてまとめ、なりすましの可否についてどのように考えるとよいのかを解説していきます。
顔認証とは
生体認証のひとつでもある顔認証は、人が日常的に行っている、顔の情報により各個人を識別するという方法をコンピュータが行うもので、技術の進化とともに急速に普及してきています。
顔認証は、カメラで撮影した画像をシステムに送信し、顔のパーツの位置、領域の大きさなどさまざまな情報からデータベース上の顔データを検索して特定し、認証を実現します。高額な専用設備を導入する必要がなく、導入のハードルが低いことが魅力のひとつです。
最新の技術では、マスクやメガネを着用している場合でも本人を特定できるようになっており、感染症対策にも有効であるとして注目度が上がっています。
顔認証システムでは写真でも本人と判別されるのか?
顔認証システムを検討する際の懸念事項としてよくあるのが、「Webカメラで撮影した画像から情報を読み取るのであれば、例えば高画質な写真をかざすことでも認証ができてしまうのでは?」というものです。結論からいうと、現在普及している顔認証システムには高精度なものが多く、写真でのなりすましはほぼ不可能です。
どのようにしてなりすまし不可能を実現しているのか、顔認証の仕組みや認証方式を知ることで理解できるでしょう。
顔認証の仕組み
顔認証では、顔の輪郭、目、鼻、口などの「特徴点」の位置や比率などさまざまな要素をもとに、データベース上に登録されている特定の個人であることを判断します。
この判断の際に顔認証システムの「認証方式」によって、カメラに写った映像を分析し、認証を行うのです。
顔認証の認証方式
顔認証の認証方式は、画像を読み込んで判定する「2D認証方式」と、赤外線カメラを使って顔を立体的にスキャンし、さらに多くの情報を読み取る「3D認証方式」の2種類があります。
2D認証方式
その名の通り、写った画像を2D、平面で認識して顔のパーツをデータと照合し、顔認証を行うものです。髪型や帽子、マスクなどで正常に認識されなかったり、暗いところでは認証精度が下がったりするなどの問題がある点がデメリットです。また、平面で認識するという特徴から、写真でのなりすましもできる可能性があることが弱みです。この2Dのデメリットを補完するために、2Dと3Dを組み合わせた顔認証システムも存在します。
3D認証方式
2Dで行う顔認証方式に加え、赤外線を利用し、顔の凹凸など骨格までも顔データを認識し、データベースと照合するものです。メイクや髪型などに影響されず、高い精度で本人を特定できます。凹凸を識別するため、写真でのなりすましは難しいことも特徴です。ただし、赤外線が搭載された特定の読み取り用デバイスが必要となります。
セキュリティをより強固なものにする顔認証の「なりすまし」対策とは|具体例をご紹介
暗証番号の入力やセキュリティカードを所持する必要がなく、専用機器の購入も不要で、導入の敷居が低い顔認証システムですが、なりすましや不正利用をどのように防いでいるのでしょうか。ここからはなりすまし防止のために導入されている具体的な技術やシステムをご紹介します。
2要素認証を導入してなりすまし防止を強化した製品
システムに登録した顔写真や正面から撮影した写真などをかざすことで、本人以外でも認証できてしまうケースを防止するため、2要素認証、すなわち複数の認証動作を組み合わせ、精度を高めた製品が開発されています。
ユーザー認証と合わせた2要素認証
端末やアプリケーションの起動時に、従来行ってきたユーザーIDによる認証と顔認証を連携して利用します。パスワード入力部分に顔認証を使用することで、ユーザーは特に煩雑さを感じることなく認証を実現可能です。
能動的にジェスチャーを指示して生体認証を行う
認証画面上でジェスチャーを指示し、なりすましを防ぐ顔認証システムもあります。一方向からだけではなく指定された角度で顔認証を行ったり、ジェスチャーをしたりすることは、写真では不可能です。この仕組みによって、人物の偽装をほぼ確実に防ぐことが可能となります。ジェスチャーを行うことによる煩雑さはあるものの、認証自体は高速で、専用のカメラが必要ないこともメリットのひとつです。
偽造物特有の写りの違いを検知し、なりすましを防ぐ技術
ユーザー側が2要素認証によって追加作業をすることなく、顔写真によるなりすまし・偽装を防ぐ技術も開発されています。
他者の写真を撮影した偽造画像では、実際に人がカメラに向かって認証した時とは異なる、画像上の歪みなどの特徴があるため、この技術では認証の際にそれらを自動的に分析します。また、環境光の角度や反射による影など、実際の環境と写真の不一致を検出し、本人がその場にいないと判定されれば認証はエラーとなるため、なりすましが防止できます。
生体検知でなりすましを防止するシステム
生きた人間の顔なのかどうかという「生体検知」を行うことで、撮影された画像がプリントされた写真や、3Dマスクなどの偽造物でないことを確認できるシステムも存在します。このシステムでは「生きているか」という部分に焦点を当てて認証しているため、例えば3Dプリントされたフェイスマスクなどを使用しても、なりすましは不可能に近くなります。
顔認証システムが注目されている理由
現在、顔認証システムが注目され、多くの分野で活用されています。スマートフォンの顔認証によるロック解除から、非接触で検温を行うような機器など、普段の生活で顔認証システムを目にする機会も増えているでしょう。
ここからは、顔認証システムが注目されている理由をひとつずつ見ていきます。
非接触で衛生的
カメラに向き合うだけで認証が行える顔認証は、感染症の予防だけでなく、手荷物を持ちかえて手を空けたり、手袋を外したりする動作など、認証のために特別な行為をする必要がありません。大勢の人が触った機器に触れるなどのリスクもなく、衛生的で効率的な認証方法といえるでしょう。
IDやパスワードを紛失したり、忘れたりするリスクがない
ログインやロック解除などに必要なIDやパスワードを忘れてしまった、という経験は誰でも一度はあるのではないでしょうか。それを防ぐためにメモしたり、再発行を繰り返したりすることも多々あります。ただ、メモしたものを紛失した場合、大きなセキュリティリスクにもつながります。再発行を行うには、手間や場合によっては費用もかかるでしょう。その点顔認証であれば、IDやパスワードを常備することもなく、認証を実現できます。
勤怠の不正防止につながる
顔認証システムを利用した勤怠管理も普及してきています。近年ではテレワークが普及し、従業員の勤怠管理が煩雑になったことに悩んでいる人事担当者も多くなっています。例えば、PCを使って業務を行っている場合、PCのカメラで顔認証を行うことで、出退勤の登録や、業務に携わっている時間も記録でき、不正防止に役立ちます。
顔認証システムは写真を使った「なりすまし」を防止できる
近年、急速に普及している顔認証システムですが、高度で新しい技術によって、懸念事項とされていた顔写真によるなりすましは防止可能です。JCVの提供する顔認証システムには「生体検知」機能という生きたものを検知する技術が搭載されており、写真に限らず人工物(人形や3Dマスクなど)での偽装対策に役立ちます。また、認証エラー率が最も低いシステムとして、公的なベンチマークテストでも常に上位に入る正確性を誇っています。
これから顔認証システムの導入を検討する方は、なりすましを高確率で防止可能なJCVの顔認証システムを検討してみてはいかがでしょうか。