コラム

画像認識技術によるDX化とは?工場の進化を考える

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DX化が急速に進んでいる工場現場では、画像認識AIも活躍しています。

モノの加工や生産を行う工場では、人の目が品質を大きく左右します。
製品の検品はもちろん、作業員の導線や安全確認まで、多くの工程で人の目が必要です。

しかし、近年では画像認識AIの精度が人の目に置き換わるほどに発達し、活用が進んでいます。
これまで人の目を頼りに行っていた業務を画像認識AIに任せることで、工場ではどのような変化が起きているのでしょうか。

この記事では、画像認識AIによる工場のDXをご紹介します。

人の目に依存する従来型工場の課題

工場の業務において要とも言える人の目には、人間ならではの弱点もあります。
ここでは、従来型の工場が抱えやすい代表的な課題を紹介します。

重大な事故の発生

工場では指さし確認や多重確認など、確認に間違いがないよう様々な工夫を行っています。
これにより確認精度は大きく向上しますが、工数の都合もあります。
重要な確認ポイントではこのような確認を行いますが、全ての確認項目で同様の方法をとることは難しいこともあるのではないでしょうか。
また、工場内では、人が巻き込まれたら重大な事故に繋がる機械が多く稼働しています。
従業員が誤った使い方をしてしまう、転倒して機会に巻き込まれてしまうなどの事故を防ぐためには、精度の高い監視を常時続ける必要があります。

過労やストレスによる精度の低下

人間の確認精度は完全ではなく、体調や精神状態にも大きく左右されます。
外観検査などの検品作業では長時間同じ作業を繰り返すため、集中力が散漫になってしまうこともあるでしょう。
そのため、作業員にその気が無くても見落とし率が上がってしまう、見間違いをしてしまう等の課題が存在します。

人材不足

少子高齢化や働き方の多様化もあり、工場の人材不足は深刻な状態です。
労働人口の母数自体が減少しているため、十分な人材を確保することに苦慮している企業も多いでしょう。
これらは工場の問題ではなく、社会情勢であるため企業として根本解決を行うのは難しい課題と言えます。

このような工場に課題は、人による作業を前提としていると解決が困難に見えてしまいます。
画像認識AIではどのようなアプローチが考えられるのか、事項で紹介します。

画像認識AIでなにができるのか

人の目に匹敵するほどに進化した画像認識AIにより、工場はどのように変化するのでしょうか。
画像認識AIで実現できることの一例を紹介します。

危険予知

画像認識AIであれば、工場内で必要なポイントを常時監視することができます。
危険を検知した場合は機械を自動的に停止するなど、人間による運用だけでは難しいことも実現可能です。
危険と隣り合わせになりやすい作業員の安全性を少しでも向上させることは、社会的に求められている工場の課題と言えるでしょう。

一貫した精度の確認作業

疲労や体調不良と無縁な画像認識AIは、常に一定の精度で認識・判断を行います。
外観検査のような、対象が特定の状態であることを何度も確認する作業では画像認識AIの力を発揮しやすいでしょう。
製品の外観に特徴が少なく、AIが判断する材料に乏しい場合は人の目による確認を適宜行うことで品質を保ちます。

工数削減

AIによって業務を代替することで、人間の工数を大きく削減します。
人手不足の工場では、生産力を維持しながら少ない作業員で稼働することは大きなメリットになるでしょう。
画像認識AIによって確保できた人間のリソースを人間の力が必要な業務にまわすことで、より高い成果を上げることも期待できます。

これまで人の目で行っていた作業を画像認識AIで代替することで、コスト削減や品質の均一化を見込めます。
また、画像認識AIは常に一定の精度で監視を行える点も大きなメリットです。
人間とAIそれぞれが得意な分野を見つけ、双方が補い合う形の運用を目指すとよいでしょう。

画像認識AIの課題

画像認識AIはすでに実務で活用されており、効果を発揮しています。
しかし、まだまだ発展途上の画像認識AIには、いくつか課題も存在します。
ここでは、画像認識AIにどのような課題があるのかをご紹介します。

作業員の熟練が要求される複雑な判断

単純な外観検査であれば、適切な学習を終えた画像認識AIは高い精度で良否判定をすることができます。
しかし、複雑な構造物や検品作業員の経験や予測に頼っている作業は、画像認識AIによる高精度な判定は難しいのが現状です。

学習データの用意

機械学習を行うためには、教師データと呼ばれるAIの学習用データを用意する必要があります。
検品作業であれば、正常な製品データ/異常な製品データのように、画像認識AIが良否を学習するための画像データなどが該当します。
画像認識AIが一定レベルの精度で良否判定をするためには、適切な学習が必要です。
そもそも不良品の発生頻度が低いケースや、不良と判断するパターンが多岐にわたる場合は、学習方法の工夫が必要です。

目的に応じたソリューションの選定

AIの分野は専門性が高く、一般利用者のほとんどはAIを自在に扱うレベルの知識を有していません。
そのため、自社が求めている要件にマッチしたサービスを慎重に検討し、課題解決に寄り添ってくれるベンダーを見つける必要があります。
期待した効果を発揮できない状態で、非協力的なベンダーであれば導入コスト分のメリットを享受することは困難でしょう。
裏を返せば、協力的なベンダーであれば導入当初に成果が上がらなくとも、長い目で見れば大きなメリットを生み出すことも期待できます。
また、利用者側もベンダーの技術に頼り切りにならず、課題解決にしっかりと取り組むことが大切です。

このように、画像認識AIは導入直後から理想的な環境が完成するものではありません。
長期的に画像認識AIの運用に取り組み、課題と向き合う姿勢が大切です。

人間とAIの共存

画像認識AIは人の目に変わって様々なメリットをもたらします。
しかし、前述したようにAIはまだまだ発展途上の新しい技術です。
画像認識AIが活躍するためには、人間が画像認識AIを上手に活用する必要があります。
ただ画像認識AIを導入しただけでは、期待した効果を発揮することは難しいでしょう。

大局的に物事を考え、決断をするのはあくまでも人間です。
新しい業務の形を実現する手段として、画像認識AIの有効活用をご検討なさってはいかがでしょうか。

画像認識技術を用いてどのような変化が考えられるのか、こちらでも情報をまとめています。
ダウンロードの上、ぜひ貴社のビジネスにお役立てください。

AIの目が現場を変える画像認識技術のいま

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