入退室管理は直接的な利益に結びつき辛く、オフィスの施錠を徹底することで防犯対策としている企業もあるのではないでしょうか。
部外者の侵入を防止するだけであれば有効とも言えますが、企業ならではの環境で厳重なセキュリティと効率的な業務遂行を実現するためには不十分な点も存在します。
この記事では、入退室管理を実施する必要性とどのようなシステムの利用が考えられるのかを解説します。
入退室管理が疎かになるリスク
十分な入退室管理を行えていない状況は多くのリスクを放置することに繋がり、場合によっては致命的なセキュリティインシデントに発展してしまうケースもあります。
情報の不正持ち出し
サーバー室や機密情報が保管されている区画への立ち入りが制限されていない、入退室の履歴を後から追跡できないなどの状況では、情報を不正持出しするハードルは大きく下がります。
サーバーログ等で不正持出しが行なわれた日時や持ち出された内容を特定できたとしても、それを行なった人物の特定を行えないのであれば、不正持出しのリスクが少なくなるためです。
企業が適切な入退室管理を行なっているという事実だけでも、不正行為の抑止に繋がると考えられます。
第三者の侵入
企業には正規従業員だけではなく、外注要員や清掃員、その他来客者など不特定多数の人物が出入りします。
その気になれば特定の区画に不正入室し、情報を奪取できる環境は大きなセキュリティインシデントに繋がる恐れがあります。
情報の奪取以外にも、企業に対する不満や恨みから迷惑行為に及ぶケースも考えられるため、システムとして区画への立ち入り制限を行なうことは極めて重要です。
個人情報保護法に抵触する恐れ
後述しますが、個人情報を保持する事業者はその情報を守るための努力を行なわなければなりません。
従業員の履歴書等も個人情報に該当するほか、場合によっては顧客情報や取引先担当者情報も個人情報の範囲となる可能性もあります。
そのため、多くの企業では個人情報を保持していると考えることもでき、必要な対策を怠れば何らかの指摘や指導を受ける可能性もあるのではないでしょうか。
万が一情報漏洩が発生した場合、原因究明を行い取引先や顧客へ説明を行なうことは必須の対応と言えます。
その際、ずさんな入退室管理が原因となってしまえば企業の信用は著しく損なわれてしまうでしょう。
また、個人情報を取り扱う事業者は個人情報保護法により安全管理措置を行なうことを定められています。
入退室管理を行う必要性
前述のとおり、オフィスなどの機密情報が保管されている区画では、第三者の不正侵入や従業員の不正行為を防止しなければなりません。
また、近年では個人情報保護法により必要なセキュリティ対策が示されているほか、認定資格でも入退室管理の重要性が謳われています。
セキュリティ対策
部外者の不正侵入を防止し、窃盗や破壊等の被害を防ぎます。
休日夜間の業務や外部の人員の配属等、従業員以外の人物の出入りを想定すると、一般的な鍵をかけるだけでは利便性が著しく低下します。
しかし、誰でも入室できる状態では大きなセキュリティリスクとなるでしょう。
このように、複数人の人物の出入りを前提とした上でセキュリティを担保するために、入退室管理を行なうことは重要です。
内部不正の防止
企業が保有する機密情報や個人情報の保存場所として、近年ではクラウドストレージ等の利用も進んでいますがオフィス内のサーバーに格納しているケースも多くあります。
サーバー室など、特定の区画への入室は管理者やエンジニアに限り、業務上必要のない従業員の立ち入りは制限することが一般的です。
これにより、内部不正による情報漏洩リスクを軽減できるほか、本来入室が許可されていない人物が不審な行動をした時に周囲が気づくことができるかもしれません。
また、入退室を記録していること自体が不正行為に対する抑止力となることも期待できます。
個人情報保護法の遵守
個人情報保護委員会により公開されているガイドラインでは、物理的安全管理措置として個人情報を保有する事業所は、次の措置を講じなければならないとされています。
1.個人データを取り扱う区画の管理
2.機器及び電子媒体等の盗難等の防止
3.電子媒体等を持ち運ぶ場合の漏えい等の防止
4.個人データの削除及び機器、電子媒体等の廃棄
この中でも、特に1と2は入退室管理と深く関係します。
1の「個人データを取り扱う区画」とは、サーバー室や個人データを操作する端末が配置されている区画と捉えられます。
そのため、入退室管理により対象の区画への出入りを管理することで、1に対する措置と考えることもできます。
2の機器や電子媒体の盗難を防ぐためには、不審者の侵入や内部不正を防止する必要があります。
これについても入退室管理により部外者による盗難を防ぐことに繋がるのではないでしょうか。
参考:個人情報保護委員会 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン 10-5」
認定資格の取得
情報セキュリティに関する代表的な認定資格であるISMSでは、入退室管理を適切に行なうことが努力義務として求められています。
認定資格を取得することで企業のセキュリティ品質が向上し、対外的な信用も得やすくなると考えられるのではないでしょうか。
企業がセキュリティ対策にしっかり取り組んでいることが公に証明されるためです。
不特定多数の人物が出入りする企業のオフィスや施設は、入退室の実態を企業として把握し、必要に応じて見直せる環境であることが求められます。
入退室システムの導入や更改を検討するなら顔認証がおすすめ
顔認証は不特定多数の人物が出入りする企業の入退室管理システムとして、非常にマッチした方式であると考えられます。
高いセキュリティと認証制度
暗証番号やICカードを利用する方式と比較して、顔認証はセキュリティレベルが高いと言えます。
暗証番号の漏洩やカード紛失による不正侵入のリスクがなく、偽装が困難な生体情報を利用するためです。
また、近年の顔認証システムはマスクやサングラスを着用していても認証可能な製品が増加してします。
そのため、セキュリティを確保しつつ認証の手間を削減する利便性も両立した入退室管理を実現しやすいと言えます。
ウォークスルー
多くの認証方式では、認証デバイスにカードや指をかざすために立ち止まる必要があります。
大人数が同じタイミングで認証を行なう際は渋滞が発生してしまうシーンもあるでしょう。
ウォークスルー型の顔認証であれば、入退室する人物が歩いている状況で顔情報をチェックし、認証を行なうことができます。
そのため認証時の混雑が発生しづらく、スムーズな入退室が可能です。
両手が塞がっていても認証可能
サーバー室や倉庫など、区画によっては荷物を頻繁に搬入するケースがあります。
区画を出入りするたびに手を空け、認証操作を行なうことは煩わしいだけではなく、作業効率の低下も招いてしまうのではないでしょうか。
手ぶらで認証可能な顔認証システムであればスムーズな作業が可能であり、認証可能なスペースも比較的広く取ることが可能です。
不正行為を行なった人物の特定が容易
正規の権限を持った人物が認証して許可されていない人物が同時に入室してしまう共連れや、カードの貸し借りにより入室してしまうなりすましなど、既存の入退室管理では防ぐことが困難な課題も存在します。
カメラで入室時の状況を撮影できる顔認証であれば、そのときの状況を即座に確認することが可能です。
そのため、万が一不審な行為が発生したとしても迅速に状況を把握し、是正や処分などの具体的な対応に着手することに繋がります。
セキュリティの向上はどのような企業にも求められている社会的な責務とも言えます。
顔認証システムであれば、セキュリティ対策はもちろん利便性の高い入退室管理を実現することが可能です。
安全性と効率の両立を
多くの機密情報を保持する企業では、情報漏洩の防止や万が一の事態での対応のスムーズ化など、入退室管理による多くのメリットを享受することができます。
また、個人情報を取り扱っているのであれば個人情報保護法により物理的安全管理措置を講じる必要があります。
オフィスの入退室状況や規模によりマッチする入退室管理方法を検討し、適切な対策を講じるよう心がけましょう。
顔認証システムであればセキュリティの向上はもちろん、極力認証の手間を省き業務効率への影響を抑えることが可能です。