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生体認証にもデメリットがある?安全に活用する方法も解説!

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生体認証は現代社会におけるセキュリティの最前線と言える技術です。
パスワードやPINコードといった知識ベースの認証方法と異なり、認証者の身体的特徴を利用するため、セキュリティ向上と利便性向上を同時に図ることができます。
しかしその一方で、導入コストや運用方法、万が一の情報漏洩リスク等、企業にとって無視できない不安要素も存在します。

この記事では、生体認証がもたらすメリットや活用方法、知っておきたいデメリットを解説します。

生体認証の仕組みや種類はこちらで解説しています。
▶︎ 生体認証(バイオメトリクス)とは?仕組みや種類・メリット・導入のポイント・問題点も解説

生体認証を活用する理由

近年では、様々な場所で当たり前に生体認証が活用されています。
どのような目的で生体認証を活用しているのでしょうか。

セキュリティ向上

生体認証は、指紋、顔認証、虹彩認証、音声認証、血管パターンなどの身体的特徴を利用するため、他人によるなりすましや盗用が非常に困難になります。
また、二要素認証や多要素認証と組み合わせることで、認証情報の盗難リスクや不正アクセスに対するセキュリティが大幅に向上します。

利便性向上

生体認証の方式は様々ですが、認証デバイスに指をタッチする、カメラに顔を向けるなど、キーボードから文字列を入力するよりも手間が掛からないことが特徴です。
ユーザーは同一の動作をするだけで複数のシステムへアクセスすることが可能です。

アカウント管理の省力化

生体認証であれば、ID・パスワードのようにユーザーが情報を覚える必要がありません。
複数のアカウント情報を管理することはユーザーの負担になるケースが多く、その負担を軽減するためにパスワードの使い回しや単純な文字列の設定を行なってしまうリスクもあるでしょう。
自分の身体さえあれば認証を行なうことができるため、ユーザーの負担削減とセキュアな認証を両立することができます。

セキュリティの重要性が増し続け、効率化が求められる現代において生体認証は必須とも言えるセキュリティシステムでしょう。

生体認証の最新の活用方法はこちらをご覧ください。
▶︎ 生体認証の最新情報を紹介!盤石なセキュリティを実現するために。

知っておきたい生体認証のデメリット

メリットばかりに見える生体認証ですが、知っておきたいデメリットも存在します。

適切な運用のための知識が必要

生体認証に使用する身体情報は、個人情報に該当します。
利用者とシステム間の認証において生体認証によりセキュリティが強化されることは事実ですが、ID・パスワード以上に機密性の高い個人情報を管理しなければならないことは理解しておく必要があるでしょう。
万が一生体情報が漏洩してしまった場合、不正アクセスなどのはもちろん、生体認証の利用者本人に対する謝罪や賠償が必要となるケースもあります。

認証精度のバラつき

指紋認証であれば指の汚れや乾燥、顔認証であれば認証時の光量や顔の角度など、認証時の状況は認証精度に影響を及ぼします。
製品自体の認証精度が低い場合は認証エラーが頻発し、業務効率が下がってしまうリスクもあるでしょう。

コスト

生体認証システムを導入する際には、指紋認証スキャナーや顔認識カメラなどの認証機器、実際に認証を行なうシステムの導入が必要となるケースが一般的です。
利便性やセキュリティの向上による恩恵と導入コストのバランスを考え、自組織にとって単純なコスト増にならないように注意することが大切です。

その他生体認証のリスクについてはこちらをご覧ください。
▶︎ 生体認証のリスクとは?トラブルに繋がる要素や対策、メリットを解説!

デメリットを理解せずに導入を急いでしまうと、期待した効果を得られないだけではなく重大なセキュリティ事故が発生する恐れもあります。

生体認証ごとのデメリットや特徴

前述のデメリットは、多くの生体認証に当てはまる典型的な内容です。
ただし、生体認証にはいくつかの種類が存在しており、それぞれの特性は異なります。代表的な生体認証を比較してみましょう。

※記載の内容は一般的な傾向を示しており、全てのサービスに当てはまるものではありません。

 指認証顔認証静脈認証
機器コスト
安価なデバイスが多数存在

一般的なWebカメラを利用可能

認証デバイスが高額なケースが多い
認証速度
1秒未満がほとんど

1秒未満がほとんど

静脈パターンの読み取りに時間が必要
利便性
指を認証デバイスに当てる必要がある

顔を向けるだけで認証完了

手を認証デバイスに当てる必要がある
セキュリティ
偽装は極めて困難

偽装は極めて困難、認証時の映像保存が可能

偽装は極めて困難
認証環境への耐性
指の怪我や汚れ、乾燥、湿りにより精度低下

極端に光量の多い場所や顔の大部分を隠す着衣により精度低下

手の状態の影響を受けづらく、安定して認証可能

利用シーンや生体認証を導入する目的にもよりますが、顔認証は他の方式と比較して優位性があると考えられるのではないでしょうか。

生体認証のデメリットを克服するためのポイント

生体認証を活用する際に、いくつかのポイントを抑えることで多くのデメリットを軽減することができます。

安全性の高いシステムを利用する

生体認証に用いるデータは、非常にセンシティブな個人情報となります。これらの情報が漏洩した場合、身元詐称やなりすまし行為に利用される可能性があります。
したがって、登録データの暗号化や、安全なストレージへの保存など、適切なデータ管理が不可欠です。
生体認証サービスの提供元が構築・管理している環境にデータを保管できる場合は、自社が独自で管理するよりも安全性が高いケースも多くあります。
自社にマッチした方法を選択しましょう。

認証精度を高める工夫をする

生体認証は個々の特徴をもとに識別を行いますが、その精度は設定や使用環境によります。
認証エラーを防ぐためには、正確なデータの取得を心掛けることが重要です。例えば、顔認証の場合、明るい場所での登録、角度を変えての再登録などが挙げられます。

生体認証によるコストメリットを見いだす

生体認証はセキュリティの向上以外にも、認証作業の簡易化やアカウント管理工数削減、IT管理部門の負担軽減など、直接的にコスト削減に繋がります。
自組織で利用しているサービス数や各従業員が管理するアカウント数、ログインに関連する工数がどの程度削減されるのかを把握することで、生体認証サービスを導入するコスト以上のコストメリットを見いだせる可能性があります。

基本的なポイントを押さえ、その上で自社にとって使いやすい形で生体認証を導入しましょう。

生体認証のデメリットを理解し、安全に活用しよう!

現代の生活になくてはならない生体認証を活用する際は、そのデメリットを理解して適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。
身体情報をデータ化してシステム上で管理するということは、サイバー攻撃のターゲットになってしまうリスクもあるためです。

生体情報の機密性を理解し、安全と言える環境でデータを保管することは生体認証を活用する前提条件とも言えます。その上で、認証精度の向上や対応するシステムの選定を進めることにより、企業にとって安全で効率の良い認証システムとすることが可能です。

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